2025/08/28

【13億円調達】Peak Design Travel Tripod ─ “ボトル径”が変えた三脚の常識【完全解説】

はじめに:三脚は“持ち出すかどうか”で価値が決まる

写真が好きな人ほど、三脚は家に置きっぱなしになりがちです。かさばる、重い、設置が面倒。旅先で「今日はいいや」と判断した瞬間、その日の最高の光は二度と戻りません。Peak DesignのTravel Tripodは、その厄介さを**「水筒の直径に収める」という一撃の発想で裏返しました。2019年のKickstarterで約13.24億円($12,143,435, 27,168人)を集めたこのプロジェクトは、スペック競争ではなく“持ち出す頻度を上げる設計”**で支持を勝ち取った好例です。

数字で読み解く完成度

キャンペーンは2019年5月にスタートし、アルミとカーボンの2素材で展開。収納長は約39.1cm、外径はボトルに近い約8cm。展開すると**約152cm(60インチ)**まで伸び、約9.1kg(20lb)の耐荷重を確保します。雲台は複数ノブを廃した“1リング操作”で、センターカラム内部にはスマホマウントを隠し持つ——細部の“現場解像度”が数字の裏付けになっています。

主要スペック(要点)

  • 公開:2019年5月(Kickstarter)
  • モデル:アルミカーボン
  • 収納長:約39.1cm / 外径:約7.9〜8cm(“ボトル径”)
  • 最大高:約152cm(60″) / 耐荷重:約9.1kg(20lb)
  • 雲台:1リング操作のボールヘッド(アルカ互換)
  • ビルトイン:センターカラム内にスマホマウント、六角ツール格納

何が新しかったのか:空間の再発明

従来のトラベル三脚は、たたんだときに脚の間に生まれるデッドスペースが外形を肥大化させていました。Travel Tripodはこの“無駄な空気”を徹底的に削り、正円に近いシルエットへと再設計。ザックのボトルポケットに刺さる——この具体的なイメージが、プロでも初心者でも瞬時に価値を理解できる“翻訳”になりました。さらに、雲台の操作は1リングに集約。セッティングのたびに手を止める“余計な所作”を消し、取り出す→立てる→撮るまでの一連の流れを滑らかにしています。

ポイント

  • デッドスペースをゼロ化:脚とセンターの形状最適化で“正円”に近づける
  • 操作の単純化1リング雲台で“ノブ地獄”から解放
  • 連続動作の最適化:取り出し→展開→固定を5秒のルーチン

開発の4年:観察から生まれた設計

Peak Designはカメラバッグの成功で得た巨大なユーザーコミュニティを背景に、フィールドでの“あるある”を集めました。砂地での開脚、石畳での安定、飛行機内への持ち込み、ホテルでの乾燥・清掃……。その一つひとつに機械的な回答を与える過程で、脚の断面形状、ロックのトルク感、雲台のダンピング、各部パーツのメンテナンス性まで磨き込まれていきます。結果として、“小さいのに強い”を疑わないで済む数値と触感が揃いました。

キャンペーン前半戦:初速はどこから生まれたか

公開直後に堰を切ったように支援が伸びたのは、既存プロダクトで培った信頼と、一目で伝わるビジュアルの掛け算でした。ヒーローカットでは、ペットボトルや水筒と縦に並べた比較、ザックのサイドポケットにスッと入る様子、取り出して数秒で撮影可能な状態になる一連の動きが、言葉より先に理解を促します。レビューアーや既存バッカーの拡散も合流し、**“これは本当に毎日持ち出せる”**という確信がコミュニティ全体に伝播していきました。

初速を生んだ要素

  • コミュニティ資産:過去作で築いた“約束を守るブランド”への信頼
  • 視覚で即理解:水筒対比・ボトルポケット収納の一撃カット
  • 第三者の証言:レビュー&UGCが社会的証明として機能

中盤〜終盤:透明性が不安を溶かす

ハードウェアのクラウドファンディングで最大の懸念は、量産移行の壁です。Peak Designは試作→金型→量産の各段階で細かな改善報告を行い、脚ロックの耐久や雲台のグリス選定など、ユーザーが気にするツボを逃しませんでした。FAQでは雲台互換寒冷地での動作スペアパーツの供給、保証の考え方まで可視化。こうした“実況”は、支援者の期待と安心のバランスを保つ役割を果たします。

透明性の中身

  • 耐久検証の共有:脚ロック/脚段の磨耗・砂塵対策の知見
  • 材料・仕様の微修正:グリス・トルク・パーツ設計のアップデート
  • FAQの拡充:互換性・メンテ・保証・寒冷地/塩害のTips
  • スケジュールの見える化:試作→量産→出荷のロードマップ

クリエイティブの勘所:5秒で勝つ設計

このプロジェクトのクリエイティブの核は、5秒間の連続動作にあります。ザックから取り出す→脚を伸ばす→雲台をキュッと締める——この“快感の手触り”を動画とGIFで繰り返し見せることで、理屈の前に身体が納得する。そのうえで、**高さ(60″)耐荷重(20lb)という“強さの証拠”を数字で重ね、不安の芯を先に潰しています。コピーは冗長に語らず、“Packs down to the diameter of a water bottle.”**という一文に集約。体積の置き換えは最強の説明です。

勝ちカット/要素

  • “取り出す→伸ばす→締める”を無カットで見せる5秒
  • 比較ショット:水筒・ペットボトルとの体積対比
  • 数値の証拠:60″/20lbを画面上で重ね表示
  • 短いコピー:ボトル径のワンフレーズで思考の負担をゼロ化

価格とリワード:二階建てで迷わせない

リワード設計はシンプルです。アルミはエントリー、カーボンはプレミアム。どちらを選んでも**“水筒サイズの体験”は同じで、耐荷重や操作性も実用上は十分。そのうえで、プレートやスパイク、追加プレートなどのアクセサリ生態系を用意し、ARPUを高める余白を作っています。早割は初週の社会的証明を素早く積み上げるために集中的に配され、以降は素材選択とアクセサリで用途に応じた最適化**を促す——王道の構えです。

価格設計の勘所

  • 二階建て:アルミ=エントリー/カーボン=プレミアム
  • 早割集中:初週に支援者数の壁を一気に越える配分
  • 生態系でARPU:プレート・スパイク・追加プレート等の後付け導線
  • 迷いを最小化:どの構成でも体験価値は同じに設計

運用で効く“先回り”

安定性への疑念には望遠・長秒の実演で応え、耐久への不安には消耗パーツの交換手順クリーニングの動画で答える。互換性の質問にはアルカ互換雲台交換の可否を明確にし、環境面では砂・塩・低温・高湿の運用Tipsを公開。いずれも“使う人の一日”を想像すれば自然に出てくる問いで、プロジェクト側が先に言うことで、コメント欄の温度が一段下がります。

先回りチェック

  • 安定性の実演:望遠撮影/長秒露光でのブレ検証
  • メンテ動画:脚分解・洗浄・再組立・グリスアップ
  • 互換の明記:アルカ互換・雲台交換可否・スマホ対応
  • 環境Tips:砂・塩・低温・高湿での注意点

その後に続く道:ライン拡張と長寿命化

出荷後は、実地で得られた学びが上位モデルアクセサリに転写され、プロダクトの寿命はさらに延びました。クラファン単発で終わらず、自社ECとレビュー導線をつなぎ続けた点も見逃せません。支援者はユーザーになり、UGCとプロ評価が積み上がるたびに、初期の“約束”が強固なブランドの資産に変わっていきます。

まとめ

Travel Tripodは、スペックの上塗りではなく行動のデザインで世界を口説きました。「水筒サイズ」という一文が“毎日持ち出せる”という未来の習慣を想像させ、その想像を裏切らない数値と触感が後押しした——だからこそ、約13億円超という結果がついてきたのです。プロダクトの魅力を伝えるうえで、最初の5秒で身体を納得させること。そこに尽きます。

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